つい先日、久しぶりのお仕事に行ってきた安西さんです。
まぁ仕事といっても離着陸経験付与のためのSIMですけど、せっかくアサインしてもらったので、ずっと前から気になってたコトを試してきました。
コロナで仕事なくてもパイロットはちゃんと飛べるのか
僕が試したかったのは、1カ月全くフライトが無く、Flight Crew Operations Manualをレビューしなかったとしても、離着陸やエンジンをかける手順等がちゃんとできるのかということです。
なぜこんなコトをやりたいかというと、いつかは4 weeks off 4 weeks onで働きたいと思っているから。
つまり、4週間働いて4週間休むパターンを繰り返すということであり、働くのは1年のうち半分でOK♡
でも、ずっと思ってたんです。
疑問
4週間も休んでたら仕事忘れるんじゃないか?
って。
今の会社で普通に働いてたら4週間ずっと飛ばないなんてことはまずありませんが、ちょうどコロナで仕事が無いときにSIMをアサインしてもらったので、実験してみたというワケ。
実験の前提条件
4週間以上フライトしていない
→最後に飛んでからSIM訓練まで40日空いてたのでクリア
4週間FCOMを見ていない
→4週間敢えて勉強しなかったのでクリア(笑
実験の科目
- V1 CUT(離陸滑走中にエンジン1基故障)
- Single Engine Landing
- 場周経路1周
- RAW DATA ILS
実験結果【コロナで飛んでないパイロットはどうなる?】
操縦は問題なかった
離着陸やV1 CUTの操作は全く違和感なくこなせました。むしろ、久しぶりで集中してたせいか普段より精度が高かったような気がします笑。
手順にはミスがあった
一方、手順には2個ミスがありました。
1つは離陸滑走時のコールアウト。
100ktsで「ワンハンドレッドノット」と言わなくてならないのですが80ktsで「エイティノット」と言いかけてしまいました。
エィ、、、ワンハンドレッド(; ・`ω・´)
みたいになってしまいました。
僕が以前乗っていたB777では80ktsでコールアウトする決まりだったので、その時のクセで言ってしまったんでしょうね。
NH140便の重大インシデントを思い出してしまいました。
後ろの教官は笑ってましたが、隣の機長はボーイングに乗ったことないと言ってたので
エィ...?(´・ω・`)
て思ってたかも。
もうひとつは、エンジンを切った後の手順。
ミスはしませんでしたが、手順が淀みなく出てきませんでした。
結論
- 40日飛んでいなくても離着陸に不安はなかったので、4週間お休みでも操縦自体は問題なさそう。
- しかし、手順については2〜3箇所気になるところがあったので、日々の勉強の中で手順をレビューするようにしたほうがよさそう。
手順って難しいの?
さて、手順にミスがあったと言ってますが、手順てそんなに難しいの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
うーん、難しいというよりは、長いです。
車だと、運転席に乗り込んでブレーキ踏みながらスイッチ押せばエンジンかかりますが、飛行機の場合、操縦室に入ってからエンジンかけるまでの手順がだいたい30ページくらいあります。
試しに適当なページをピックアップしてみるとこんなカンジ。
こんなやつを30ページこなすとやっとエンジンがかかります。
エンジンをかけたあとは、タクシーして離陸、上昇、巡航、降下、進入、着陸、タクシーそしてエンジンシャットダウンとなるわけですが、それぞれのフェイズに写真のような手順があります。
ざっと数えてみると100ページ以上あるわけですが、コレを暗記且つ理解したうえで淀みなくこなせないと飛行機を飛ばすことはできません。
ウゲェ
と思われたかもしれませんが、一度出来るようになれば大したことはないんです。
全てのパイロットがやっていることですし、毎日のように飛んでいればスラスラスラスラ出来てしまいます。
しかし、今回の実験で長い休みのあとはヌケが出ることがわかったというワケです。
まぁ、実験するまでもなく当たり前のことなんですけどw
今まで僕がとった最も長い休暇は2週間くらいでしたので、流石に手順を忘れることはありませんでした。
全く準備せずにSIM訓練に臨むなんてバカなマネできる機会はおそらく最初で最後だろうと思い試してみましたが、1カ月ともなるとやっぱダメですね。
ちなみに、今日で最後にフライトしてからちょうど2カ月が経ちました。
✈︎