知恵袋でこんな質問見かけました。
いやぁ、コレはホント、航空業界における既知のスレットのうち、防ぐのが非常に難しいモノのひとつかもしれません。
【パイロットのハイジャック例:1】日本航空350便墜落事故
日本で一番よく知られているのは日本航空350便墜落事故でしょう。
これはハイジャックとは少し違いますが、機長が突然操縦桿を押し始め、機を墜落に至らしめたという、信じがたい事故です。
これを機に、航空身体検査ではクレペリン検査などの精神検査が導入されました。
しかし、2015年には更に恐ろしい事故が起きています。
【パイロットのハイジャック例:2】ジャーマンウィングス9525便墜落事故
それが、ジャーマンウィングス9525便墜落事故です。
なんと当該便の副操縦士アンドレアス・ルビッツは、機長がトイレに離席したスキに操縦室内から完全に鍵をかけ、そのまま故意に機を墜落させたのです。
生存者はいませんでした。
個人的に、この事故はものすごく衝撃的でした。
何故なら、やっぱり安全なんてただのコトバでありマボロシなんだなと痛感させられたから。
コックピットに誰も入れないようにする手順はテロ対策のために用いられた手順です。しかし、ルビッツはそれを逆手にとって自殺を試みたわけです。
人が死んでは改善。永遠にその繰り返し。アンゼンと航空業界のイタチごっこ。なんとも言えない、虚無感を感じさせられた事故でした。
この事故を機に、クルーがコックピットを離れる際、CAさんをコックピットに入れて、パイロットを1人にしないというプロシジャが欧州で始まりました。
しかし、これでも100%身内によるテロを防ぐことはできないと思います。
操縦室に入ってきたCAが会社に恨みを持っていて、背後からパイロットを襲い、、、
なんてことがあるかもしれないからです。
そんなことあるわけないって思います?
【パイロットのハイジャック例:3】フェデックス705便ハイジャック未遂
でも実際に起きてるんです。
1994年、フェデックス705便で、デッドヘッドのフリをして乗り込んできた社員(フェデックス社のパイロット)が当該便のパイロットとエンジニアを武器で襲い機を墜落させようとしました。
幸い、男は拘束され最悪の事態は免れましたが、格闘したパイロットたちは重症を追い、復職することはできませんでした。
パイロット1人はちょっと怖い
以前、コチラの記事でも書いたんですけど、個人的にはパイロットを1人にするのはどうかなぁと思うんですよね。
だってパイロットがルビッツみたいなヤツだったらオワリだもの。
世の中には、フツーの感覚じゃ理解できないような人たちや国が存在するじゃないですか。まぁ何がフツーなのかという議論はさておき、パイロットが1人の航空機って、そういう連中の標的になりやすい気がするんだよね。
電車とかは運転士1人なわけだから、考えすぎなのかもしれないけど、パイロットは2人いた方がいい気がするなぁ。どうしても減らすなら、1人にするよりゃゼロのほうがいいのかも。
でも、新しいモノを導入するときには結構な確率で問題が起こりますからね。最近では737MAXのMCAS、ちょっと前だど787のバッテリー。実際運用してみないとわからないことってのは沢山あるんですよね。
パイロットをゼロにするってのは、それはそれはドラスティックな変化なワケで、なんの犠牲も無しにスンナリ行くとは思えないんですよね。
B767のような所謂第3世代と呼ばれる飛行機が登場してから40年弱、飛行機はそんなに大きく進歩してないんです。
基本的に、2人のパイロットがコンピュータと上手に付き合いながら飛ばしていくというコンセプトはずっと一緒。
言わば、コンフォートゾーンなんですよ、今の状態って。
パイロットを減らすというのは、重い腰を上げて、このコンフォートゾーンを飛び出し、新たなる境地へ飛び出していくようなもの。そして新しいまだ見ぬ境地には、必ずブラックスワンが潜んでると思うんですよ。
進化には犠牲がつきものです。
でも、航空業界はもうじゅうぶん血を流してきたと思うんですよね。
人が死んでは改善。
人が死んでは改善。
人が死んでは改善。
それを何度も何度も繰り返して、ようやく今の水準で飛行機を飛ばせるようになってきたわけです。
ここから敢えて、リスクを取る必要があるのかなぁ。
嗚呼、ハイジャックの話からだいぶ話が逸れましたね。ただの雑記になってしまいました。
まぁ、もともとそういうブログなんですけどね。