実務って何だよって感じですが、本日の内容は全くパイロットと関係ねーっす。
が、もし本当に海外で働く際には知っておいた方がいいことであり、ミスると後で国税局から修正申告だの追加徴税だのとイチャモンをつけられる可能性があります。
よって、書きます。
PTPになって海外での所得に対する日本の国税からの課税を合法的に免れる為には、「日本の非居住者」にならなければなりません。で、この非居住者であることを国税に認めさせるには、ただ海外に住んで働けばいいというわけではなく、結構色々大変なんです。所得税法を読んでいくと、分かりにく言葉で長々と書いてあるのですが、簡単にいうと以下のようになります。
① 国内に住所・居住を有していない
② 職業上、1年以上外国に滞在する必要がある
③ 生計を一にする配偶者等の親族の所在が国内でない
④ 資産の所在の割合
①は、まず住民票を抜きなさいってこと。さらに海外に行く際、日本での賃貸契約は解約・持ち家は売却もしくは賃貸に出し、「いつでも日本に帰って来れる状態にない」という状況を作っておく方が無難ってことです。過去の裁判でも、持ち家を日本に残し家具等をそのままにしておいたために、「国外に赴いた目的が一時的なものであると考えられ、非居住者として認められない」と国税に指摘されています。
ちなみに、持ち家を賃貸に出した場合、その賃貸収入に対してのみ日本で課税されます。
②についてクリアするのは簡単ですね。パイロットとして海外に行けば1年以上は滞在することになるでしょう。
③はつまり、単身赴任はダメよってことです。非居住者になるためには、妻子や被扶養者は一緒に連れて行かなければなりません。
④は、資産をどこに置いているか、ってことですね。過去の裁判の事例では、日本に90%以上の資産を置いていたことが国税につつかれています。
基本的には①〜④で十分なのですが、国税局も必死です。その他にも、過去の裁判で重箱の隅をつつきまくってますので、参考までにどんな事例があるかというと、、、
・銀行口座の住所変更をしていない
・車を成田空港に駐車しており、生活用動産を預託していたと判断出来る
・日本で会社役員として名前を残している
等です。もちろん、これらのみで非居住者ではないと判断されるわけではありませんし、車の件については「生活動産を預託していたとは言えない」と国税側のいい分は棄却されています。よって、基本的には①〜④をガッチリかためることが第一で、その他についてもなるべくつっこまれないように準備をするというスタンスを取るべきだと思います。
で、これは完全に私個人の考えですが、ブッチャケ、パイロットの人がそこまで気をつけなければならないかというと、多分NOです。なぜらな、国税局の人たちにパイロットなんて小物を相手にしている時間はないからです(涙)。過去の裁判の話をしましたが、このように裁判にまで発展しているのは有名人かスーパー金持ちのどっちかです。追徴課税の額が1300億円とか、そんなレベルです。武富士の自社株贈与事件やハリーポッター翻訳者の申告漏れの件あたりが有名どころです。最近では坂東英二の件、ちょっと前ですが筑紫哲也の海外資産の件やら。とにかく大物を捕まえてマスコミを使ってミセシメにする。これが、その他大勢の小物に対する最大の抑止力となるわけです。
とはいえ、もし私が海外に行くとなれば、出来る限りの対策はします。特に①〜④は絶対にやるでしょう。税収難の世の中ですから、国税がいつスタンスを変えてくるかわかりませんし、何よりも妙な不安を抱えて生活するのは嫌ですから。
とまぁつまらん話をつらつら書きましたが、こういった実務的なことを確実にこなすことで、例えばエミレーツ航空のパイロットとしての収入には全く課税されないということになるわけです。
※
実際に海外に行かれる際には、専門家のアドバイスを受け、ご自身の判断で行動されてください^^
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Permanent Traveling Pilot 実務編
2013年2月12日 >