先日のブログでこんなご質問頂きました。
質問!
パイロットは何個までライセンス所有できるの?
コメント欄だと書ききれないのでちょっとコチラに書きます。
パイロットは複数のライセンスを同時に所有できる
結論から言うと、パイロットは複数のライセンスを同時にいくつでも所有することができます。
つまり、B737、A320、B747などのライセンスを同時に保有できるということです。
しかし、その飛行機に乗るにはライセンスが有効でなければなりません。有効であるためには、毎年試験をパスする必要があります。
僕の場合もB747-400など複数のライセンスを持っていますが、今現在有効なライセンスはA320のみです。
つまり、明日いきなりB747-400に乗ることはできません。
もし、A320とB747のライセンスが両方有効だったとしても、日本のエアラインで相互乗務 (今日は320で明日は747!みたいなこと) はやりません。
プライベートジェットのパイロットは複数の機種に乗れる
先日のブログで、Jさんはガルフストリームとグローバルエクスプレスの二刀流で稼いでるという話を紹介しました。
なぜそんなことができるんでしょう?
理由その1: Jさんは自費で試験を受けてライセンスを更新しているから
日本の場合、自費でジェット機のライセンスを取得したり更新したりすることはありません。航空法上問題ないハズですがそういう需要や施設が少ないからだと思います。
一方、アメリカは民間の訓練会社で訓練を受けてライセンスを取得/更新するのが一般的です。僕自身もアメリカでB777のライセンスを自費取得しました。(5年以上前ですがATPLとセットで100万以上でした)
Kさんも年に1回、ガルフとグローバル両方のライセンスを自費で更新し有効な状態に保っているため、相互乗務が可能なわけです。
理由その2: プライベートジェットだから
アメリカの場合、例え有効なライセンスを複数持っていたとしても、エアラインの中で違う飛行機の相互乗務はできませんが、プライベートジェットであればできるんです。ちょっと例をあげでみます。
例1
ユナイテッド航空のB737のパイロットが、ユナイテッド航空のB777、或いはアメリカン航空のB777に乗務できるか?
→出来ない!
例2
ユナイテッド航空のB737のパイロットが、A320のプライベートジェットのパイロットとしてアルバイトできるか?
→出来る!(会社によっては許可しないとこともあるらしい)
例3
プライベートジェットパイロットとしてB737とA320両方に乗務出来るか?
→出来る!これがJさんのパターン。
B777とB787は同じライセンス?
国によってはB777とB787は同じ機種だとみなされています。
例えばカタールがそうです。実際に、787と777両方に乗っている方がいらっしゃいます。またカタールではA320とA330の相互乗務も可能です。
しかし、日本では認められていません。2019年に777と787の相互乗務を認めるという方針を国土交通省が出しましたが、まだ承認には至っていないはずです。(間違ってたらスミマセン)
ちなみに、B747-400とB747-8は日本でも同じライセンス扱いですので相互乗務可能です。
C172のパイロットも限定のライセンスが必要?
C172はB747のようにそれ専用のライセンス(型式限定)を取る必要はありません。僕が航空大学で乗っていたA36も不要です。(ABOUTのページで紹介しています)
これは航空法で以下のように棲み分けされています。
航空法第25条第1項
国土交通大臣は、前条の定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、准定期運送用操縦士、航空機関士、一等航空整備士、二等航空整備士、一等航空運航整備士又は二等航空運航整備士の資格についての技能証明につき、国土交通省令で定めるところにより、航空機の種類についての限定をするものとする。
航空法施行規則第54条第1項
法第二十五条第二項の航空機の型式についての限定は、実地試験に使用される航空機により、次に掲げる区分により行う。
第1号
操縦者に係る資格にあつては、構造上、その操縦のために二人を要する航空機又は国土交通大臣が指定する型式の航空機については当該航空機の型式。
つまり、パイロットが2人いないと飛べない飛行機は限定免許を取得しないといけないということ。
皆さんがお客さんとして乗り込む飛行機は殆どがパイロット2人で飛ばすことになっていますので、パイロットはその飛行機専用のライセンスを有していなければなりません。
パイロットになるために必要なライセンスは?
さて、ここまで飛行機それぞれの限定免許についてお話ししてきましたが、パイロットに必要なライセンスはそれだけではありません。
例えばエアラインの副操縦士になるためには以下のライセンスが必要です。
- 航空無線通信士
- 事業用操縦士
- 多発限定
- 計器飛行証明
以上が最低限のライセンスです。
4つのライセンスを取得後、エアラインに就職しB737などの限定免許を取得、その後OJTを経てB737の副操縦士としてデビューするわけです。
自社養成の場合、最近は事業用操縦士(CPL)ではなくMPLを取得しますが、あんまり詳しくないので割愛します♡
以上、ライセンスについて書きましたが、最近日本の航空法ぜんぜん読んでないので、もし間違いがあればご指摘ください。速やかに訂正いたします。
✈︎