カルロス・ゴーン逃走劇に一役買ったプライベートジェットのパイロット。
彼らの生態って、実はエアラインパイロットにもよく知られていないんです。
特に日本はプライベートジェットが参入しにくいため、情報はあまり入ってきません。
本日は気になる彼らの年収やライフスタイルについて、グローバルエクスプレスに乗務されている現役プライベートジェットパイロットK氏に聞いてきました。
プライベートジェットパイロットの年収は!?
早速いってみませう。K氏の会社における年収です。
- 副操縦士: 170,000ドル(約1,800万円)
- 機長: 220,000ドル(約2,400万円)
いずれも額面ですので各国の税制に従って課税されます。
上手くやれば合法的に無税で済む人達もいるでしょう。英国人とか。
副操縦士の年収はANAの787の副操縦士5年目くらいと一緒ですかね。
アジア圏での機長の相場は200,000〜250,000ドル(2,160〜2,700万円)だそうです。(ガルフストリームやグローバルエクスプレスなどの花形機種のお話です)
プライベートジェットパイロットの勤務は?
はてな
上記の年収を見て、中国のパイロットの年収に比べると安いなぁって思いましたか?
正直、僕も思いました。
しかし、彼らはなんと年間300時間程度しか飛ばないんです。
普通のエアラインパイロットは年間約700時間、多ければ900時間以上飛びますので、その半分も飛んでいないことになります。
以前パイロットの年収を時給換算してみるという記事を書きましたが、同様にKさんの時給を計算してみるとだいたい時給5〜6万円ということになります。
時給5万で毎月70時間飛んだとすると年収は副操縦士で4,000万を超える計算です。
プライベートジェットパイロットは副業で年収アップ?
年間300時間しか飛ばないということは、それだけお休みが多いということ。
どのくらいお休みがあるのかというと、月の半分はお休みだなんだそうです。加えて有給も年間30日。
従って、皆さん副業でも稼いでいらっしゃるよう。
副業は会社から認められているので、コンビニで働いてもいいし、アルバイトで別のパイロットの仕事を単発で受けるのもオッケーだそうです。
アルバイトでパイロット??
コレは僕も全く知らなかったんですが、プライベートジェット専用のエージェントに登録しておくと仕事を紹介してくれるんだそうです。
例えばこんな具合です。
安西さん、来週北京ーロンドンの往復やってくれません?
いいよー(´・ω・`)
そうなると、台湾に住んでいる僕はまず北京に移動します。
このときの交通費は支給されます(エコノミーかビジネスかはケースバイケース)。
同日、北京ーロンドン便に乗務。ロンドンで1日ステイして(ホテル代は当然支給)、ロンドンー北京便に乗務。
この場合、約3日間拘束されています。
給料は拘束日x1,500〜2,000ドルとのことですので、この一回の仕事で4,500〜6,000ドル(約49〜65万円)稼げるわけです。
アルバイトのみで年収4,000万円のプライベートジェットパイロット
会社に所属せず、上記のアルバイトのみで生計を立てている人もいるそうです。
例えばKさんのお知り合いのJさん、ガルフストリームストリームとグローバルエクスプレス両方のライセンスを保有しており、年間4,000万を稼いでいらっしゃるんだとか。
バイトで4,000万という金額も驚きですが、全く違う飛行機に同時に乗って仕事してしまうというのも、エアラインパイロットの私には軽い衝撃です。
プライベートジェットのパイロットになるには
FOとして入社する場合でも、グローバルエクスプレス等に乗るにはそれなりの経験が要求されるようです。
例えばK氏の会社の場合、入社のための最低飛行時間が明確に決まっているわけではないですが、だいたい皆さん入社時点で5,000時間以上の飛行経験をお持ちのよう。
また、何時間飛んでいるかよりどんな経験を積んできたかの方が重要との事です。
国際線の経験は必須であり、長距離国際線をガンガン飛んでいた方は強いようです。
これは、オーナーの気分次第でどこへでも飛んでいかなければいけないというプライベートジェットの仕事の特色が影響しているのだと思います。
また、飛行時間が少なく離着陸回数も少ないので、技倆維持の観点からもある程度の経験が求められているのでしょう。
もうひとつ特徴的なのが、コネがものすごく大事だということ。
一般的にプライベートジェットパイロットは公募されず、ほとんどがクローズドの世界。コレは我々エアラインパイロットがプライベートの実情を知り得ない一因だろうと思います。
ちなみに、プライベートジェット機はアメリカ国籍である事が多く、この業界で働くにはFAAのATPLは便利が良いとのこと。
その他プライベートジェットパイロットのアレコレ
最後にプライベート業界のちょっとした豆知識を。
定年がない?
プライベートジェットには2種類あるんです。
飛行機のオーナーの専属パイロットとして飛ぶ場合(FAA PART91)とチャーターを受ける場合(PART135)で、前者の場合、定年が決められていません。
80歳でも飛べます。
実際、K氏のクラスには75歳の紳士がいらっしゃったそうです。
ちなみに、オーストラリアのパイロットも身体検査に受かっている限り定年はありません。
オーナーからお小遣いもらえる
オーナーからお金もらえることもあるそうです。
K氏も今年の正月は5万円もらったそうで。
中東の王族の専属パイロットはナイスランディすると王様から札束もらえるなんて話聞いたことありますが、あながち嘘ではなさそう。
有名人と飛ぶとオイシイ思いができる
仲良くなるとステキなチケットもらえたりするとか。
マイルが貯まる
旅客機での移動やホテルの宿泊が多く、その際のマイルやポイントは全部自分のモノにでます。
プライベートジェットパイロットの殆どがエアラインのプラチナナンチャラステータスを有しているそうです。
パイロットの年収に関する記事をコチラにまとめました。
記事中のドル円変換は1ドル108円で行いました。
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