当社もそれなりに大きな会社ですから何千人もパイロットがいるわけです。ですから、同じ人と飛ぶことはあまりないので毎回イチから自己紹介しなければなりません。
「こんにちは、日本からやってきました安西です!」
てな具合です。そして必ず、「前社はどこだったの?」と聞かれますので、「はい、日本の○○という会社から来ました!」と答えると、必ずと言っていいほど
はっ(; ・`ω・´)?
とか
えっ °д°)?
みたいなリアクションされます。つまり、なんでわざわざこんなとこ来たの日本の会社辞めてまで?!アホなの?!ってリアクションなわけです。
自国以外で働くパイロットは自分たちをExpatsと呼びます。外国人労働者という意味です。そして彼らは、好きでExpatになったわけではありません。自国の大手に入るチャンスがなかった、そもそも自国にいい会社が存在しない、ワイドボディに乗るチャンスがなかった、倒産したから仕方なかった等々、結構ネガティブな理由で海を渡らざるを得なかった人たちが多いのです。特に9.11で自分のキャリアが大きく変わってしまったと語る人は多く、そんな彼らはできれば自国に、もしくは自分の住みたい所に戻りたいと考えています。
日本人の私にとっては、日本語が使えない海外で仕事をするということは実に大きな挑戦であり人生において掛け替えのない経験になるだろうと信じています。しかし、西側諸国の言語を母国語とする人々は非常に英語が堪能ですから、海外に出ることは彼らにとってハードルが高いわけでもチャレンジングなわけでもなく、「やむを得ない出稼ぎ」以外の何者でもないわけです。
毎回のようにビックリされたりクレイジーボーイ扱いされたり悲しい視線で見つめられたりするとさすがになんだか自分の決断に自信がなくなることもありますが、日本のようにそれなりに雇用があって海外に出なくてもそれなりの生活ができる国で生まれるということは、ものすごくラッキーなことなんだなと思う今日この頃なわけです。
まぁ、それも今は昔の話なんでしょうけれども。
安西副操縦士のログブック | パイロット ブログ